乳癌術後の再建の経過
またまたお久しぶりになってしまいました。
乳癌術後の再建の方です。
大阪、名古屋で現在6名ほどの治療が進行中ですが、2回目の注入が終わった方の途中経過をご紹介します。
41歳の方で、2017.2に右乳腺全摘術と同時に195ccのインプラント(シリコンバッグ)を挿入されました。
異物感や硬さ、左右の位置のずれを気にされ、相談に来られました。
健側(左)が元々大きさのある方なので、入っているインプラントの大きさからしても5回くらいの注入が必要になるかもしれませんという事で治療をスタートしました。
2017.9、初回の注入は皮膚につまめる程度の余裕があったため、インプラントの上から70ccの脂肪注入を行いました。
2018.3 2回目はインプラントを抜去して脂肪注入を行いました。
※注入した脂肪はおよそ3ヶ月で定着し、定着しなかったものは白血球などに分解され体外に排出されると考えられています。なので美容の方のコンデンスリッチ豊胸でも4ヶ月程度で2回目できますよーと説明しています。
インプラント取り出し直後の胸の様子です。
195ccのインプラントが大胸筋下に挿入されていた為、抜去後は肋骨の変形も認められます。
ここから丁寧に皮下・大胸筋内・大胸筋下(被膜上)に計113ccを注入しました。
前回の注入で層の厚みができていたため、初回よりも多い量を無理なく注入することができました。
2回目の注入から1ヶ月後の経過です。
下縁(IMF)も左右差を修正するように工夫したのでとてもきれいになっています。(このあたりの工夫は秋のオンコプラスティックサージャリー学会で発表予定です)
IMFの比較。
もう少し減る可能性はありますが、この経過だとあと1,2回の注入で十分健側の大きさまで、できそうな気がします。
エコーの画像です。術前術後で同じ場所の比較をしています。(左右で深さの設定を合わるのを忘れていました…次回以降気を付けます)
エコー上でも脂肪層ができてしっかり厚くなっています。
1ヶ月なので小さなoil cystは認めますが、3~6ヶ月で自然に吸収される程度のものでした。
異物感なく、自然な感触で揺れる胸にご本人も大変満足いただけています。
普段のコンデンスリッチ豊胸もできるだけ細かく多層に注入するようにしていますが、そこでのノウハウがこういった再建の分野にも応用できて私自身大変うれしく思います。
乳がん術後の乳房再建については、THE CLINIC公式サイトの外来ページをご覧ください。
▷乳がん後の乳房再建リタッチ外来
※私、福田が担当した乳房再建症例は「よくわかる!脂肪注入の乳房再建」でも詳しくご紹介しています。