不適切に脂肪注入されてしまった後にしこりとなった症例です。

2015年9月 脂肪注入豊胸(M美容外科)
2016年1月 当院受診 エコー上5×5cmのしこりが認められたが、症状もないため除去手術は保留となる
2017年5月 痛みもあり大きくなったという事で、再度受診。7×7.5cmのしこり認め、除去手術となる

最初に来院された際のエコーです。

脂肪注入 しこり除去

壊死脂肪(死んだ脂肪)がつまった充実性のしこりです。

さらに1年経過して来院した際のエコーです。

脂肪注入 しこり除去

大きさは初診時より大きくなっていました。

脂肪注入 しこり除去

通常、脂肪注入後のしこりが自然な経過で大きくなることはありません。

エコー所見でも内部に出血のようなものが確認できましたので、何かのきっかけでしこりが破裂して壊死脂肪が周囲に広がり、全体として大きくなったのかなと予想しました。

よくよく話を聞いてみると数か月前に壁に強く胸をぶつけたことがあるという事なので、それがきっかけだったのかもしれません。

しこりの相談でよくあるのは「しこりができたと言ったら針で刺された」「潰せば大丈夫と言って無理やり押しつぶされた」「自分で毎日マッサージするように言われマッサージしているうちにどんどん大きくなってきた」という話です。

過去のブログでも言及していますが、これらはすべて間違った方法で、良くなるどころか状態を悪化させる方法ですので、絶対に行わないようにしてください。

治療方針としては、基本的には切開して被膜ごと取り出すのが基本ですが、

・初診時と比べて内部は液体に近い所見だったこと

・7cm以上の大きさだったので乳輪切開では傷が小さく取り出せないこと

・被膜の肥厚・石灰化が軽度であること

以上から乳房下縁を2cm程度切開して、中の壊死脂肪を取り除き、しっかり洗浄する方針としました。

手術動画です。

脂肪注入 しこり除去

エコーの所見通り、液状化した壊死脂肪と、中で出血していた分の血液があふれ出てきました。

脂肪注入 しこり除去

心配だったのは、珍しく被膜内側に血流のある所見があったので、活動性の出血があった場合、下縁の傷から止血できるかということでしたが、洗浄、投薬、圧迫でなんとか血種を作らずに良好な経過となりました。

脂肪注入 しこり除去

痛みと腫れや赤みも消失し、とても喜んで頂きました。

脂肪注入 しこり除去

傷は2ヵ月の経過ですが徐々に色も目立たなくなります。

脂肪注入 しこり除去

エコー上、血種もありませんし、被膜もどこかわからないレベルになっています。

脂肪吸引を行っているクリニックが脂肪注入を行うというのは経営の面からみても自然な流れだとは思いますが、いざトラブルが起きたらフォローもせずに簡単に放り出すのは最悪です。

医師としての根本的な自覚がなく無責任な金儲け主義と言わざるを得ません。

質の良い脂肪を使って、正しい注入方法で手術すれば、このようなしこりになることはありません。

当院では術前にもエコー検査を行い乳腺の異常の有無をきちんと確認し、豊胸後もエコー検査でしっかりしこりがないことを確認しています。