乳癌術後の再建
乳癌術後の相談も少しずつ増えています。
今回は岐阜県にある 木沢記念病院 形成外科 高木美香子先生からご紹介いただいた患者さんです。
高木先生は東海地区で乳がん術後の再建に特に力を入れておられる先生です。
乳がんの手術を受けられシリコンバックによる再建後の状態でご相談に来られました。
術前の状態です。
大きさの左右差もほとんどなく、位置は自然ですが手術で皮下組織が殆どなくなっているため、バッグと皮膚との境目が目立ちます。
今回はこの境目にコンデンスリッチファット(濃縮した自己脂肪)を注入してより自然にしようという計画です。
バッグの挿入されている層のエコー画像です。
通常あるはずの皮下脂肪や乳腺組織がないため、皮膚からバッグまでが非常に薄くなっています。
(皮膚2mm,脂肪層1mm,筋肉2mm)
そのため、バッグ挿入から1年ほどですが、表面のリップリング(凸凹)が目立ちます。
定着が良ければ、今後バッグを取り出してすべて脂肪に置き換えたいという希望もあるので、無理のない範囲でこの薄い層にも注入していきます。
いつものバッグ取り出しと同時のコンデンスリッチ豊胸では、皮下・乳腺下・カプセル上・カプセル下・大胸筋内・大胸筋下などいくつもの層に分けることができますが、この場合は、皮下と大胸筋内にしか注入することができません。
立位と寝た状態では注入部位が変わってしまうので、術前にしっかりデザインすることが重要です。
脂肪は腰から取りましたが、せっかくのなので腰のラインもきれいになるようにデザインしてベイザー脂肪吸引を行いました。
手術中の様子です。
1週間までの経過です。内出血は2週間できれいに無くなります。
バッグとの境界部分にボリュームが出て自然になりました。
まだむくみの強い時期なので、とりあえず1か月後の状態を診る必要があります。
今回は腰の脂肪吸引の段階から高木先生にも手伝っていただきました。
元々の主治医である高木先生が一緒ということで患者さんもとても安心していらっしゃいました。
今後シリコンバッグを取り出してすべて自分の脂肪に置き換えるには、複数回に分けて脂肪注入を行う必要があります。
いろいろな個所をスリムにしたい人は、その都度脂肪吸引を行ってもよいのですが、脂肪吸引を一度にしたいという人は脂肪を保存しておいて、次回以降は保存脂肪を使うこともできます。
また、アンチエイジングのご希望があれば、さらに脂肪を精製してマイクロCRFにして使用することもできます。
この方は、同時に口横のシワにマイクロCRFを注入しています。
胸もお顔もとてもいい経過なので楽しみです。
経過は追って報告していこうと思います。
コメントを残す