脂肪豊胸後のしこり除去 (エコー診断編)
10年前に大手美容外科チェーンで脂肪注入による豊胸を受けた方のしこり治療です。
術後1,2年経ってから両胸に硬いしこりができたのを自覚されていたようですが、怖くてそのままにしていたということでした。
エコーで見てみると…
右は中身が油成分のoil cyst(のう胞)と呼ばれる性状のものですね。大きさ8mm程度です。
中身は液体に近いので柔らかいのですが、時間が経つと周囲の被膜が厚く硬くなってくるため、しこりとして自覚するようになります。
左も中が黒く、一見、右と同じようにoil cystのように見えます。
が、右のようにしこりの下が黒い影のようになっています。
これはacoustic shadow(音響陰影)と呼ばれるもので、硬くて超音波が下まで通っていないことを意味しています。
被膜の石灰化が強いため、超音波がしこり内部やその下まで通っていません。
エコー検査は超音波が反射して返ってきたものを捉え画像にしているので、反射しないところは黒い影となります。
右のしこりは内部が液体(油)なので超音波が反射せず素通りすることで黒くなっています。
左のしこりの場合は、被膜ですべて超音波が跳ね返されているため、超音波が到達せずその下が影となって黒くなります。
同じように黒く見えてもこのような違いがあるんですね。
少々横道にそれましたが、上記の理由で左はしこり内部の評価ができません。
中身が詰まっていても(充実性でも)液体(oil cyst)でも黒く見えてしまうからです。
このような場合は充実性のしこりとして治療方針を立てます。
治療まで載せると長くなるので後編に分けます。
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