脂肪吸引後に水がたまるということ。(※長文です)

「脂肪吸引後は水がたまるって聞いた(見た)」「水がたまったら何回くらい水を抜きに通院しないといけませんか?遠方なので困ります」

名古屋ではなぜかこのような問い合わせやカウンセリング時に質問をされることが多いので、『脂肪吸引後に水がたまる』『脂肪吸引後のむくみ』についてお話しします。

まず前提として、脂肪吸引後は吸引部分がむくみます。

「水がたまる」と言うとなかなか無くならないイメージがあるので、当院では「むくみが出る」と説明しています。

ではなぜ、むくむのかについてですが、脂肪吸引によって以下2点のことが影響します。

①皮下組織に隙間ができる

②脂肪吸引の影響で微細な血管やリンパ管が傷つく

なので逆に言えば、あまり脂肪を取らずに皮下組織の隙間が少なく、血管やリンパ管へのダメージが少なければむくみも最小限に抑えることができます。

ただ、できるだけ細くしたい、たくさん脂肪を取ってほしいという方の場合は、脂肪を取る量が多くなるので①の皮下組織にできる隙間はどうしても大きくなり、そこを埋めようとする水(浸出液:血液・リンパ液)も多くなります。これは残念ながら避けられません。術後3~7日の圧迫である程度予防はできますが、その量は脂肪吸引量に比例します。

一時的にたまった水は時間が経てば自然に吸収されます。

血管やリンパ管を通って体循環に戻ると考えられますが、いわゆる水抜きが必要か不必要かは浸出液が浸み出す量と吸収される量のバランスで決まります

脂肪以外の血管やリンパ管へのダメージが強ければ回復も遅く、浸出液が浸み出す量がなかなか少なくなりません。と同時に、傷ついた血管やリンパ管が多いので吸収も妨げられます。

結果、いつまでたっても水が溜まっている状態が続き、頻回に水抜きする処置が必要な状態になってしまいます。

 

よって②を避ける、つまり、できるだけダメージの少なくなる工夫をして脂肪吸引をする必要があります。

そのためには、脂肪吸引の方法が重要なポイントになります。

脂肪吸引の方法はいくつかありますが、当院では、シリンジ法・レーザー・第一第二世代の超音波・ウォータージェット・第三世代超音波など、いろいろな方法を導入してメリットデメリットを比較検討し、行きついたのが第三世代超音波であるベイザーです。

当院のベイザーを使った脂肪吸引では通常、3000~5000ccの脂肪吸引をしたとしても一時的にむくみます(水が溜まります)が自然に吸収されて2週間程度で気にならない程度に落ち着きます。

あらかじめベイザー波で脂肪細胞を選択的にバラバラにすることで、脂肪吸引時に周囲の血管やリンパ管へのダメージを最小限に抑えることができます。

細かい話をすると使用する道具(吸引管)にも大きな違いがあり、ベイザー後は脂肪がバラバラなので吸引管の穴の刃が立っていないものを使用することができます。この穴の加工処理が周囲の組織へのダメージを減らす重要なポイントのひとつです。

脂肪吸引後 むくみについて

リンゴの表面にで皮をこすってみると、シリンジ法の吸引管は僅かですがひっかかりがあり、こすっているうちに皮が削れてきました。

一方、ベイザーで使用する吸引管(VentX)はしつこくこすっても皮に傷がつきませんでした。

わずかな差ですが、この差が体内での周辺組織(血管・リンパ管)へのダメージの差にも繋がります。

 

当院では現在はシリンジ法とベイザーを採用しています。

シリンジ法はもっとも原始的な方法で、主にアンチエイジングの方用に少量の脂肪を採取する場合に用います。

「え、ダメージが強いと言ってるのに使ってるの?」と思われるかもしれませんが、理由は非常に簡便で少量の採取に優れていることです。アンチエイジングに使う量程度であれば術後の痛みやむくみ、内出血も気にならない程度です。傷も若干ですが小さくて済みます。

逆に量を取って形を作る脂肪吸引の時には不向きです。理由は…

・最大50ccずつしか採取できず、空気に触れる回数が多いため感染のリスクが増える

・吸引管の刃のせいで周囲へのダメージが比較的大きい

・微妙な吸引圧の調整や一定の吸引圧で維持することができないので細かなデザインができない

例えるならチョロQを一定速度で走らせられないのと一緒です。(チョロQ知らない方はごめんなさい^^;)

以上の理由で、痩身目的の脂肪吸引にシリンジ法を用いるのは仕上がり・術後の負担を考えるとリスクしかありませんので使用することはありません。

実際、皮下組織のダメージが大きいとどうなるのか見てみましょう。

以前、当院を受診された方です。

シリンジ法で腹部の脂肪吸引を行い、術後から水がたまり2,3日おきに合計30回以上水抜きに通っているという方でした。そのせいで精神的にも落ち込んでしまい、仕事にも行けなくなってしまったそうです。「もう水はない、これ以上は水抜きできません」と言われて当院を受診されました。

エコーで腹部の状態を診てみると…

脂肪吸引後 むくみについて

このような状態でした。一般の方には分かりにくいので色分けしてみます。

脂肪吸引後 むくみについて

水はまだかなり貯留している状態です。仰向けで厚みが1cm以上あるので、座位や立位ではかなりの量があります。

それ以上に驚いたのは、肉芽組織の過剰な造成でした。

腹部は見た目も凸凹で硬かったのですが、一見脂肪の取り残しに見えた凸凹は実は肉芽組織だったのです。

シリンジ法で歯のついた吸引管でギリギリまで脂肪を取られたことで、皮下組織が過剰に傷ついたことが原因でしょう。

水については数か月経過しているので周囲に血餅(かさぶたのようなもの)を元にした被膜で覆われているので、漫然と単に水抜きをしてもまた溜まって吸収されません。再度脂肪吸引の要領で被膜ごと吸引し直す必要があります。

他院脂肪吸引後の修正

見た目は以前紹介したこの方と酷似していて腹部全体が硬く凸凹していました。
手術を受けたところも同じです。

脂肪の取りむらによる凸凹であれば、ベイザーで均すだけでもある程度良くなりますが、凸凹の原因が過形成した肉芽組織だとすると話は別で、均したり取り除いたりすることはできません。

皮下の浅い層に脂肪を少しずつ定着させてカバーしていくしか方法がありません。

なので修正には長い期間と費用がかかってしまいます。。。

脂肪吸引後 むくみについて

ちなみにこれが正常な皮下組織の構造です。(私のお腹です)

そして当院で脂肪吸引したスタッフの皮下組織の様子がこちら。

脂肪吸引後 むくみについて

正常な皮下組織の構造が保たれたまま、脂肪層が薄くなっているのが分かります。

脂肪吸引後 むくみについて

先ほどの、『ダメージの大きな脂肪吸引後』と『正しい脂肪吸引を行った後』の皮下組織の比較です。

違いが一目瞭然ですね。

 

まとめると…

・脂肪吸引する以上、水はたまる

・吸引量が多くても周囲の組織へのダメージが少なければ自然に吸収される(水抜きの必要はない)

・ダメージが大きいと水がたまる以外にも炎症持続し肉芽組織が増えて硬く凸凹の状態になる

ということが言えます。

脂肪吸引で大切なことは医者の技術・経験・知識は当たり前として

・できるだけ体に負担の少ない道具を使う

・必要以上に脂肪を取りすぎない

・術後にきちんと病態を理解してフォローする

ということも大切なポイントです。

 

数カ月前から少しずつ書いていていたので、少々長文ですが最後まで目を通してくれた方はありがとうございます。
現在、脂肪吸引に関する教科書的なサイトを個人的に作っています。
全身管理や麻酔、術後のことから具体的な脂肪吸引の方法(部位別)まで、どの教科書より細かく言及する予定ですのである程度のボリュームになれば公開しようと思います。

今年最後のブログです。
今年も一年、大きなトラブルもなく来て下さった方に出来る限りのサービスが提供できたと思います。
来て下さった方々に感謝すると同時にスタッフにも感謝です。
スタッフの協力があってこそ私もいい仕事ができますし、お客様の満足度にもつながります。
来年も日々より良い方法を探求してよりよいサービスが提供できるように精進していきます。

来年もよろしくお願い致します。

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