乳がん術後の患者さんに脂肪を使った再建(コンデンスリッチ豊胸)を行いました。
脂肪を使った再建は見た目、感触ともごく自然で、自分の組織なので長期的に劣化することもありません。
右側胸部に乳癌部分切除後の傷と、おそらく鏡視下で腋窩リンパ節郭清をしたであろう傷が複数あります。
傷の下は特に癒着が強いので、その部分をある程度丁寧に剥離します。
1ccを1/60~1/240に細かく注入できる特殊な器械を使って丁寧に脂肪を注入していきます。
塊にならないように少しでも層を分けて注入します。
ここからさらにもう一工夫。
本来はボリュームとしては残りにくいマイクロCRFを面で注入します。
マイクロCRFはCRF(コンデンスリッチファット)をさらに細かくして厳選したもので、脂肪幹細胞やSVF濃度が濃くなったものです。
皮膚表面のシワや色味、肌質の改善に用いますが、乳がん切除+放射線に曝されて定着の悪い組織を肥沃化させる目的で注入しました。
例えるなら…
野菜を育てるのに砂漠では育ちません。
まずは良質な土を持ってきて土地を肥沃化させることが重要です。
一度の注入では限界があるため、経過を見て2回目の注入が必要になるでしょう。
保険診療の世界ではシリコンバッグがやっと保険適応になったばかりで、自分の脂肪を使った再建はまだまだ普及するには遠い話です。(一部大学病院では自費で始まっています)
シリコンバッグは確実なボリュームになる反面、早い人で数年で拘縮が強くなり、取り出しか入れ替えが必要になります。
当院は脂肪利用に特化した施設として、これまでたくさんのコンデンスリッチ豊胸を行ってきました。
そのノウハウを生かして乳がん術後の患者さんにも世界最先端のサービスを提供していきたいと思っています。
乳がん術後で諦めていた方、是非一度ご相談にいらしてみてください。
乳がん術後の再建についての詳細は下記のリンクよりご覧いただけます。
▷脂肪注入による乳房再建(THE CLINIC)
※私、福田が担当した乳房再建症例は「よくわかる!脂肪注入の乳房再建」でも詳しくご紹介しています。