豊胸術と乳癌の関連性

ここ数年、著名人の乳がん公表で乳がん検診の重要性が注目されています。

同時に過去に豊胸手術をされた方の不安も高まっていると思います。

豊胸をされた方は「人にばれたくない」という方が殆どですので、乳がん検診から足が遠のき、時として、ある程度進行した状態で見つかる傾向にあるようです。

豊胸の方法にはいくつかの方法がありますが、簡単に説明します。

 

・シリコンバッグ

今も昔も最も行われている方法です。

確実な大きさが出ます。大きさ重視の人ならシリコンバッグです。反面、数cmの傷が残るのと、異物反応による被膜が必ず形成されます。被膜形成のため、徐々に拘縮が起き、取り出しや入れ換えの必要が出てきます。それ自体で乳癌のリスクを上げるものではありませんが、乳がん検診を断られることが多いようです。理由はマンモグラフィで胸を挟んだ時にバッグが破損するリスクがあり、補償問題になるためです。拘縮が進むと、うつ伏せでマッサージやエステを受ける際に破損することもあるようです。エコーやMRIでの検診は問題ありません。

※フランスのPIPというシリコンバッグだけは工業用シリコンを使用しているとして発癌性が問題になり、取り出すように厚労省から注意が出ています。

 

・ヒアルロン酸

ダウンタイムも少なく、手軽なイメージで、受けられる方が多い方法です。手術時間も短く料金も比較的安価ですが、徐々に吸収され都度補充が必要です。安全なイメージですが、人体にとってはこれも異物です。なので吸収されにくい密度の高いヒアルロン酸などはシリコンバッグと同じように異物反応で被膜に包まれしこりになります。しこりになってもヒアルロニダーゼという薬剤で溶解できるため、それほど大きな問題になることはありませんが、注入方法がまずいと血液と混じって溶解できない頑固なしこりになることがあります。シリコンバッグと同様、エコーやMRIの検診は大丈夫です。

※最近出てきたアクアフィリングは長期間持続する注入物として売り出されていますが、一部にアクアミドに似た構造の成分が使用されていて、人体に直接注入するのは非常にリスクが高いと言われています。安全性に関する論文もなく、個人的には使用には疑問を感じます。

 

・脂肪注入

実は脂肪もかなり昔からある方法ですが、初期は技術が確立していなかったため、しこりになったり、定着しなかったりなどのトラブルがあり一旦下火になりました。コンデンスリッチ法やCAL、セリューション、アメリカのDrシドニー・コールマンの提唱したコールマンテクニックなど注入方法の工夫で、それらのリスクを減らせることが分かり、世界中で現在もっとも活発に議論されている方法です。

質の良い脂肪を使うこと、できるだけ細かく多層に注入する、一回に大量に注入しないなどの工夫でとても良い結果となっています。このような事を遵守すれば乳がん検診も問題ありません。乳癌のリスクを上げることもありません。

脂肪吸引の必要があるので、極端に痩せ型の方、ダウンタイムが取れない方は適応となりません。また、大きさには個人差が出るため、大きさ重視ならば他の方法が良いかもしれません。ただし、2回3回と複数回すると大きさの満足度も高くなります。

 

現在、乳癌の手術後の再建にはシリコンバッグのみが保険適応になっていますが、一部大学病院や総合病院では脂肪を使った再建が積極的に行われるようになってきました。

当院でも中部地区の病院と連携して再建を行っていく方針です。

 

◎『ザクリニックのコラム』でも、豊胸と乳がんの関連について、ご紹介しています。